QUARTET〜不協和音な僕らの旅〜
□第7楽章
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「でけー・・・」
ピラミッドはそこら辺の低い山ぐらいあった。王家の墓とは聞いていたが、ここまでデカイとは思わなかった。
「みんな逸れないようにね。足元とか気をつけて」
レニーの言葉におのおの返事をして、なぜかリュイを先頭にピラミッドの中に入って行った。
「リュイが先頭ってだけでこんなにも不安なのはなぜだ」
「押し倒すなよ?」
「なっんでお前を押し倒さなくちゃいけねぇんだよ!!」
「押すなって言いたかったんでしょ?倒すはよけいだよリュイ」
「やっぱ発情期はそんなことばっかりね」
「発情期言うな!!」
「ぷっ・・・あはははははっ!」
カイが急に笑い出して全員びっくりしてカイを見た。
「おもしろいなあんたたち!い〜な〜こんな楽しいパーティで旅なんて楽しいんだろうなぁ〜」
「そうか?苦労ばっかりだぞ」
「えぇ〜?でもこんな美人ばっかりだぜ?」
「・・・じゃあお前も一緒にくれば?」
「え?」
「そうすりゃフィナと旅出来るし。仲間は多い分には困らねぇし」
「でもさ・・・」
「魔王討伐とかそんな重い事考えなくてもいいし。俺だってエリの側にいたいからついてきてるだけだし。エルザなんて面白そうだからってついてきてんだぜ?」
それにこいつは親の仇だってとれるし。魔物に殺されたんなら元凶を倒せばいいんだし。
「いやぁでもさ・・・俺そんな戦えないし。多少の武術の心得ならあるけど。テラもいるし。それに育ててくれた親方にも悪いしな。まぁ、誘ってくれてありがとよ」
カイは笑って断ったが、どこか残念そうに見えた。そりゃ魅力的だよな。俺ぐらいの年の男子にとって旅ってのは。
「ヴェス!魔物だ!」
レニーが叫びながら剣を手にとった。すでにエリもリュイも剣をとって攻撃にかかっていた。
「エリとリュイは前方をそのまま頼む!ヴェスは後方の奴らを俺と一緒に!カイ!テラと2人でフィナと一緒にいて!フィナ!後ろから援護頼む!」
レニーがテキパキと全員に指示をだした。
「何々!?これが戦闘!?キャー!!」
「だー!!おめぇは邪魔だ!!レニー!!エルザをどうにかしてくれ!!」
「エルザもフィナたちといて!頼むから何もしないでくれ!」
フィナは後ろから魔物たちにラリホーを唱え、俺はチェーンクロスで一気に大勢の敵を倒していた。だけどエリやリュイは剣なので1匹ずつしか倒せず、苦労してるようだった。
「レニー!ここはいいからエリたちの方に加勢してくれ!」
レニーも剣だが、1人でも多い方がいい。
「わかった!」
そう言ってすぐレニーはエリとリュイの方へ向かった。だがいくら一気に倒せるとは言え、やはり1人じゃキツかった。魔物はミイラの姿をしていて、倒しても倒してもうじゃうじゃ沸いて出てくる。
「墓を荒らすなってか?」
「ヴェス君後ろ!」
フィナの声で気づいた時にはミイラどもが後ろから俺に飛び掛ろうとしていた。ちくしょう・・・間に合わねぇ・・・!!攻撃を覚悟して目を瞑ったが、何もおきなかった。ゆっくり目を開けると、テラがミイラの魔物たちにまわし蹴りをかましていた。
「おい!テラ!危ねぇぞ!」
「こう見えて武術の心得はあるんです!このぐらいの魔物なら余裕です!」
「おりゃぁ!!」
「カイ!?」
カイは通常よりもデカイ斧を振りまして魔物を攻撃していた。
「これ売り物なんだ!あとで親方に叱られる!」
なんだ。普通に戦えるんじゃねぇか。なら一緒に旅に出りゃいいのに。
一通り片付くと少し余裕が出来て、他の奴らの様子を見た。レニーとリュイとテラは普通に戦ってるし、カイは少しやられた傷をフィナに回復されていた。ちょっと顔が赤くなってる。エルザはもう戦闘に飽きたらしく、壁に寄り掛かってあくびをしていた。
エリは・・・ちょっとおされてる。みんなから少し離れたところで5,6匹に囲まれてた。俺は回りの敵を片付けてエリの方へ向かった。そのときだった。
「キャァ!?」
エリが少し後ずさりした瞬間、床が抜けた。エリはそのまま穴に落ちていった。
「エリ!!」
俺は急いで同じ穴に落ちた。