□焼け木杭
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『…銀さん……』

セーラー服を着た黒髪ショートの眼鏡っ子が俺のことを呼んでいる。知っている気がするが、何故か思い出せない。

(よく見ればかわいいんじゃねぇの?)

ぼんやりと眺めていると、その子がスカートのファスナーに手をかけながら、再び俺の名前を呼ぶ。


『銀さん……僕…』

(……僕?)

違和感を覚えながらも目を離すことはできず、眼鏡っ子がスカートを床に落とすのを見ていた。
細くて白い足を下から上に眺める……目に眩しいトランクス………!!

「ええっっ!トランクスって………し、新八ィィ!?」



自分の叫ぶ声で目が覚めた。周りを見ればいつもの自分の部屋。
もちろんセーラー服の眼鏡っ子なんているはずもなくホッと胸をなで下ろす。ふと布団に目を落とすと緩く盛り上がっているのが目に入った……。


「……嘘だろ…。」




なんであんな夢をみたのかも、ましてや女装した新八を見て興奮したなんて……。


「あり得なくね?」


新八は隣に住む幼なじみで、物心ついた時にはいつも一緒に居た。
小さい頃はもちろん眼鏡なんてかけてなくて、黙ってれば可愛いと評判の姉ちゃん似の新八はやっぱ可愛くてよく女の子に間違われてたっけ。

つーかあの頃は新八『僕銀ちゃんのお嫁さんになる』って言ってたし。おっきくなったらチンコが取れて女の子になるって二人とも信じてたよなぁ……いや、そんぐらい可愛かったってこと。

そう言えば俺の初恋って新八なんだよね。

なんて懐かしんでる間も俺の股間は収まることはなく。




「銀さんっ!いい加減に起きないと遅刻っ………って、あれ、起きてるし。」


毎朝の日課で俺をお越しに来た新八がびっくりした顔をしている。その顔すら可愛いとか思いはじめてる俺。


「銀さ「新八さぁセーラー服とか着てみたくねぇ?」


「朝っぱらから前膨らませて何言ってるんですかっっ!!この変態っっ!!」


持っていた鞄を俺に投げつけると大きな音を立てて部屋を出て行った。


あーでも怒った顔もイケるんじゃねぇの。



再燃した初恋の炎はちょっと消えそうにない…………気がした。




おわり


2009.4.22

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