2
□対価
1ページ/6ページ
【対価】
ある夜一人の少年を拾った。
仕事を終え、客が帰った後、情事のむせかえるような空気に嫌気がさして窓を開けると、暗闇の中で、月明かりに照らされた銀色が見えた。
人を遣って見に行かせると、『少年が行き倒れていた』と。まさか放ってもおけず、自分の寝間まで連れてこさせた。
年の頃は15、6位だろうか。眠っている顔には、まだ幼さが残っているが、着ている服は泥と血にまみれていて………何より帯刀している。
(まるで戦から帰ってきたみたい…?)
体を拭き、服を整える。たいした怪我もなく、疲れて寝ているだけらしいと分かると、安心してしまい、『そういえば、僕も疲れていたんだ。』と、急に思い出した疲労感に、そのまま一緒に眠りについた。
.