感謝部屋

□修学旅行
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前からそうだった。

先生は私に何も言わない。

言ったとしても直前だ。


抜き打ちテストとか

宿題とか

問題あてる時とか


とりあえず前ぶりもなくやるのだ。そしてそれに驚く私の顔を見るのが楽しみなんだよね。でもだからと言ってこれはないと思うんだ。ほら、これってさ、私個人だけじゃなくて学校にも関係するでしょ?


「ねぇ…あそこにいるのってさぁ……」

「え?…え、嘘!!マジ!?」

「やっぱそうだよね!!そうだよ!」

「先生、先生だっ!!」

「えー!!先生の学校もここだったんだ!」

「ねぇ、みんなで先生呼ぼうよ!せーのだよっ」







せーの、







神田先生!!










「きゃー!!こっち見た!先生ぇー!」


と隣で先生に向かって一生懸命手を振ってる友達の一歩後ろで私は先生を睨んだ。これから入る予定の施設のパンフレットは先生に対しての気持ちでぐしゃりと潰れている。

先生、聞いてないよっ!

そんな気持ちを込めた視線を先生に送ると先生は(例のごとく)口端を上げて楽しそうに笑った。


「やぁーんっ先生が笑った!」


違う。あれはほくそ笑んでるんだよ。


「やばい、久しぶりの先生に泣きそうなんだけど!」


私も泣きそうだよ!(悔しくて!)道理で私が間近に迫った修学旅行の話を楽しそうに聞いてくれてるなぁ、なんて思ったよ!こういうことか!知らない(女子)生徒に囲まれた先生は「ま た な」と口パクで言って私と入れ違うように見学施設を出た。ん?「またな」?私は一瞬首を傾げたけど、とりあえず即座に携帯を取り出して「聞いてないよ!!」とボチボチとボタンを押して送信しようとしたけどやめた。だめだ。あの人は携帯に出るの遅いし基本あんまり持ち歩かない。(何のための携帯よ。)送信したって気付かずに夜に帰ってくるのがオチだ。と溜息をつくとディスプレイが切り替わった。画面には受信中の文字。まさかと思って見てみれば「ユウ」の二文字。そして本文には…


─────────────
From:ユウ
sub:無題
─────────────

喜べ、ホテルも一緒だ。

    -END-
─────────────


誰か喜ぶか!!
と叫びそうになったけど列が歩き始めたので私は慌てて後を追った。その時、友達が私を見て言った。


「なぁに携帯見てニヤニヤしてんのよ。彼氏?」

「ニヤニヤなんかしてない!!」




修 学 旅 行 






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