Love song

□Nocturne
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やたらひっつきたがるハテナをそのままにしてぼんやり世界を眺めていた。
日が昇って沈んで、その動きがここからだととても速い。

『カミサマ、おもしろい?』

言葉の使い方が前よりうまくなったハテナがくるくる回りながら俺をのぞきこんでくる。

「んー…、面白いってわけじゃないけど」

いったん世界から目をはなしてハテナに向き直る。

『おもしろい、ないのに見るの?』
「…まあ、義務みたいなモンだからさ」
『ギム???』

どう説明していいか迷って口を噤む。
義務…なんだか固くてぎこちなくて、あまりに素っ気ない。
そんな風に世界にかかわりたいわけじゃなかったはずなのに。

「………」
『カミサマ?』
「うん!よし、やめだやめ!今日は仕事、休みにしよう!」
『ほんと!?やったー!!』

説明しがたい感情を振り払って立ち上がり、ますますひっつくハテナの手を握ってやる。

「せっかくだしハテナの行きたいところに行こうか」
『わーい!じゃあ、あそこ「だめだ」…ううう』

ハテナの希望を聞くまでもなく即刻却下したのには訳がある。
ハテナは行ったことのない世界を見たがっていた。そこは黒の管轄する世界で、入ることをずっと禁じ続けている。
黒はハテナを見ても何もしないだろうがあの世界を見せるにはハテナはまだ早い。
あそこには命も希望も夢も未来も、ハテナのいた無の世界以上に何もない。
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