Love song

□Rhapsody
2ページ/3ページ

あまりに納得できなくて、Mに呆れて返す言葉も失って、いったん一人になってじっくり考えた末に気がついた。

すべて、本当は自分が仕組んだことだと仮定すればとてもスッキリした。
なんでこんな風になってしまったのか?じゃなかった。
こんな風にしたのが自分だったんだ。


清々しい気分で向かった先は、俺のいる荒んだ世界ではなくMが大切に育んでいた世界。
馴れ合いにしか見えないようなほがらかな雰囲気に顔を歪めて、一気に左手へ力を収束させ、ふと思い直す。

そうだ、大切なものを目の前で奪ってやればいいじゃないか。
はっきり覚えてはいないが誰かにそんなことをされたような気がする、なら仕返しをしてやればいい。
ひどいことをしたいつかの誰かと、すべての元凶であるかつての俺に。

いきなり空から降りたった俺に周りの目線が一気に集まり、誰かが声をあげ「いったい君は」る前に心臓を一突きにしてやった。
いつナイフを手にしたかなんて覚えちゃいない。重要なのは、殺すこと。
側にいた女がみっともなく喚「いやああああぁああああっ、なん」くのがうるさいから首を切った。
群衆がパニックになるのを鼻でわらいながら、清々しさが加速しないか我にかえってみる。



胸の中には、虚しさだけが募っていた。

「…違う、そうじゃない…!俺は、俺は…」

急に膨れ上がる焦燥感をなんとかしたくて、持っていたナイフをめちゃくちゃに振り回す。
神の力で創ったそれは近場にいない相手でも面白いほど効果を発揮し、あっという間に辺りは血の海になっていく。

「助けて!誰か!神様ッ!!!!!」

号泣しながら叫ぶ人間の声に失笑し、それはすぐに耐えきれないほどのおかしさにすり替わる。

「はは…ははは……あははははははははははは!!!!!!!!神様ならここにいる!!!この俺が!神だ!!!!!」



なんでも決めてなんでもできて、なんでも生めてなんでも殺せる。

「最高じゃないか!!!なあ、こうなりたかったんだろ!?こうしたかったんだろ!!?
笑えよ!!今の俺みたいに!!」



あの手紙の主に語りかけるつもりで叫びながらどんどんどんどん殺して殺して、ついには一人になって。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ