Love song

□Singing
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俺はあれから何も変わらない。

あの時、はっきりと感じた。
黒が向けた背中を追いかけられなかった。
血濡れの腕を掴めなかった。
立ち去ろうとする足を止められなかった。

何度も色んなものを創ってきたのに、自分から動くことができなかった。。

母さんを救うことができなかった時と同じように。



「…どうしよう」

黒はあれからずっと、狂ったみたいに破壊を繰り返している。
俺はそれを止められず、何もなくなった場所へ世界を生み続けている。

どちらかが止めればこんな馬鹿らしい連鎖は終わるんだろう、だけどお互いにやめることはできない。
カミサマになった元々の理由を忘れたわけじゃない俺は、理由を忘れた黒を止める権利がない。同じ立場になれないのに、黒をわかってやれるわけがない。

「どうしよう…」

黒にこれ以上傷ついてほしくない。
あんなことはやめてほしい。
ゆっくり話がしたい。
ここにいる、俺にとって、



…。黒は、俺にとってのなんだろう。
友達?家族?もう1人のカミサマ?

どれもあてはまらない。
あいつと共有した時間なんてないに等しい。
でも、なぜだろう。とても気になる。

こんな状況になったから?
いや、違う。
こうなる前からも、あいつが思い出したみたいに訪れてくれた時、少しでも気が紛れていたのは事実だ。
精一杯平気な振りをしていたが、同じ繰り返しの世界を見るだけなんて気が滅入るだけなんだ。だから…。
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