Love song

□Discord
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――放っておけばいいのに、Mのやっていることがどうしても気にかかる。

何度も何度も世界を創造して、構築して、そして滅ぶ瞬間まで見守って。
何がしたいのかはまったく分からないし分かりたくもないが、それは自分が断片的に覚えている『人間として生きていた頃』にやっていたことにとても似ていた。

誰からも愛されないとも知らずに、ひたすら何かを信じて。
何をなそうがどうせ報われるわけなんかない。
ましてや今は『神』という人とはかけ離れすぎた存在になってしまった。
あの時はまだ、人間でありながら神にされただけ。

存在の意義が根本から違いすぎる。


あいつが自分とそっくりな風貌をしているから、同じような過去を持つと錯覚しているのは自覚している。だから本来ならこんなことで苛々する必要なんてない。

何度も己へそう言い聞かせて、それでも納得しないもう一人の俺が醜くわめく。

仮に同じ過去を持っていようがいまいが、そんなことは関係ない。やっていることが無意味で無駄で無力なんだ。何も信じない方がずっとずっと楽なのに。
だから忠告をしているのに、この世界にきた時と同じようにMは聞き入れることをしないんだ!!

――そうじゃない、俺はMのことなんかどうでもいい。ただ、あいつのやっていることが気に入らないだけだ。目障りなだけだ。偽善にしか見えないあの行為に、救いとやらを繰り返す行為に吐き気がするだけだ。




ごちゃごちゃしてきた思考を追い出すように何度か頭を振って、視界の先を見据え

「……とにかく、今は…俺のやりたいことが先だ」

自分に言い聞かせるようにして、闇の中へ身を投じた。
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