Love song

□Tuning
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真っ白で無垢なものにくるまれているような温かさを感じて目を開けた。
ふわふわした感触が肌に触れたままで、自然に瞼が下がってくる。

――…ああ、なんで、俺はここにいるんだっけ?

ひどく眠い。意識が飛びそうでくらくらする。

ここはどこだろう。どうやってここに来たんだ?どこから来たんだった?どうして?何か理由があったか?前にいた場所は?そこはどんなところだった?何をしていた?いつから?誰かいたのか?
自分はどんなやつだったんだ?

すべてを思い出そうとして思い出せなくて、跳ねるように起きた。


ほんの一瞬、痩せこけて骨の浮いた自分の腕を眺めていたような光景が脳裏をかすめる。
何日も飲まず食わずで、空腹感すらなくなって、それで………?

考えこもうとする己を思わず笑った。
ありえない。だって今、ここに自分がいる。

笑った瞬間にさっきまでの光景が霞み、思い出す必要もないと、ただの夢だったと脳がそれを完全に消したことを泡沫のように感じ取る。
同時にさっきまでの感覚も掻き消えたが、気にもとめなかった。

起き上がって伸びをして、立ち上がって、周りを見渡して。

「………。なんだここ」

思わず呟いた。

何もない。無色で、無風で、立ち上がったと思っていたのも間違いだった。
地面もない。果てもない。何も、ない。
眠気でほてっていた、と思っていた体温すらも消えていた。
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