real

□love
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「…では、また来るからな。二人共」

墓の前で瞑目をやめて小さく呟く。
霧の中に紛れた黒い墓石の上で、一際鮮やかな薔薇が風に揺れた。

背中の翼を何度か動かし、宙へ浮く。
目的地は最近よく行く自然公園だ。

なぜかここには追憶に浸らせる不思議なものを感じる。思い出すことはできないが、私は何か大切なものを忘れてしまっている気がしてならない。



何故あんなに長い間眠る羽目になったかは分からないのだが、とにかくその間に私の大切な者達の多くが死んでしまったらしい。

私を起こしてくれればよかったのにと訴えるが、行方不明ではどうにもできなかったと言われた。


私はずっと城にいたはずなのだが、誰も発見できなかったらしい。


謎が謎を呼んだものの、誰も解き明かせる者は現れなかった。


――ぼんやりと公園の入り口に立ち、ゆっくりと歩いていく。
一歩、踏みしめるごとに物足りなさは増していく。



きっとここには思い出があったはずなんだ。
隣に誰かがいてくれたはずなんだ。

…なのに、なぜ思い出せないんだ……!!
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