眠り姫は籠の中
□GoD
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――目の前で「ユーリ」の形をした物が膨れて破裂したところから、意識の覚醒を感じた。
おそらくあの日のあの後、眠らされたのだろう。寝台の上で泣いた後の記憶が曖昧でぼやけている。
それからここに連れてこられたとして…それで?
何が起きたか理解するのには少し時間がかかった。
こちらを振り向きもせずに散っていく人々は全て、あのパーティーで顔を合わせたことのある者ばかり。
皆が「私」の残骸に怯えて、「私」を殺した人物を恐れている。…あるいは、何かを守るために駆けていく。
この発端の心当たりは、一人しかいなかった。認めたくはなかったが、現実は残酷に目に飛び込んできた。
「………なんで、こんなことを」
「さっき説明したはずだ」
神の顔から滴る鮮血が、ゆっくりと霧に変わっていく。
と同時に、足元へ倒れた「ユーリ」は、粉々に砕け散った影へと戻って、歪んで溶けて消えた。
「あ…あぁ、ハテナ…!なんで、どうして…っ」
「影のために涙なんか流さなくていい」
突き刺さるような冷たい言葉に睨みかえすも、神から漂う威圧的な空気に思わず身を引く。