眠り姫は籠の中
□GoD
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息をするたび、不快感がつのる。
ぐらぐらする視界を定めるために、目をきつく閉じて。
「なんでこんなことをした」
絞りだすように言葉を投げ出した。
「なんでって、なんでそんなことを聞くの?」
神が平然と言ってのけた台詞に言い返そうと目を開いて、彼がKKの死体を足で近くの茂みに蹴りこむ瞬間を捉えてしまった。
「最初に言ったはずだ。俺は神でいることに疲れた、だから」
「馬鹿なことを言うなッ!!」
こらえていた怒りを爆発させた私の叫びは空気を震わせるが、神は微動だにしない。
それどころか悠然と笑って首を傾げてみせる。
「何をそんなに怒るの?目的の為にちょっと皆に死んでもらっただけじゃないか」
「自分勝手なことを言うな!!あんな…あんなひどいことを、よくも!!」
「ひどい?どこが?世界と一緒に朽ちるよりいいよ。あいつらの思いはそれぞれ違っただろうけど、この戦いに参加できてむしろ幸せだったさ」
ぱちん。
指を鳴らす音が響いて、体の形が戻っていく感覚を覚える。
「……ねぇ、お前もそう思うだろう?ユーリ」