眠り姫は籠の中

□EasY
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「抜け駆けしようって奴がいるみたいだな」
「…なんでかな。あれだけの惨事を見せつけてやったのに、まだ分からないのか」
「分からないから逃げようとしてんだろ」
「俺に殺されるより戦う方がよっぽど楽なのに。それとも逆か?俺に殺されたいのか?」
「うぅわ、どんな趣味だよソレ。気持ち悪ぃ」
「理解不能だな。あぁ嫌だ、あんな場所、もう行きたくないのに」
「けどもうだいぶ減ってるぜ。あと…三人、いやもう少しで二人か」
「…………………」
「どうする?」
「俺がわざわざ手を下すまでもない」
「番狂わせがあるかも、」
「ない」
「…言ってみただけだ」
「元よりこの戦いはどう転んでも結果は同じだ」
「知ってるよ。まぁあれだ、誰が勝者か分かってる試合を見てもつまんねぇってことが言いたかっただけだ」
「お前を楽しませる為にやってるわけじゃない」
「あぁハイハイそーですか。…で、どーすんだ?勝手に試合放棄しようとしてる奴はユーリみたいに殺すんじゃなかったのかよ」
「ユーリのことは口にするなッ!!」

足を踏みならす音が暗闇に響く。
やや間があって、鋭く言葉が投げ出された。

「…六はどうせあいつが殺す。もしも俺が行くとしても、その後だ」
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