眠り姫は籠の中
□SounD
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『え…どうして?』
『これから始まる神様の話を聞けば分かるさ』
『………』
『なんで自分に?って思ってんのか』
『そ、そうです、僕じゃなくて他の、』
『おっとノンビリ話してる暇はない。じゃあな。
…安心しな、俺はフェアな人間だ。他の連中にも同じモノは渡す』
猫のように足音も立てず、その人物は姿を消した。
『――ハヤト!お前、このパーティーに呼ばれてたんだな!』
『あ……先輩、』
ハッとして渡されたモノを慌てて学生服の下に隠す。
振り向きざまに見上げた先輩には、まったく気付かれることはなかった。
…重い。
僕は、なんでこれを、受け取ってしまったんだろう。
『あっちには六もいたぜ。あぁよかった、知らない連中ばっかだと…っつーか、どしたよハヤト。顔色悪いぞ』
『…ぇ……あ』
どうしよう。打ち明けようか。
生まれて初めて持った銃は、僕には重すぎる。
『あぁ、ここまで来る間のバスの中、すげー爆睡だったもんな。酔った感覚が後からきてるってやつ?』
って、俺もそうなんだけど。
付け加えて、先輩はさもおかしそうに笑い飛ばした。
僕は結局何も言えず、乾いた笑いを返すしかない。