眠り姫は籠の中
□SiN
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「大丈夫ですか?」
「……ぁあ」
力強く返したかった返事は情けなく漏れた。
「悪ぃ、ハヤト。頼りねぇ先輩で」
「そんなことありませんよ」
いつもなら「よく分かってるじゃありませんか」なんて憎まれ口が出てくるのに、ハヤトはフォローする言葉しか出してくれない。それがやけに淋しくて、やるせない。
「……僕達、どうなっちゃうんでしょうか」
「…………」
あえて俺の醜態に触れないようにだろう、話題が俺からの励ましを期待するような内容にすりかわる。
だけど俺はそんな挽回のチャンスは望んじゃいない、甘い幻想も見せてやれない。
「このまま死ぬだけだろうな」
「っ!…先輩」
言い返す言葉を飲み込んだらしいハヤトが半分恨めしげに俺を睨む。
「俺がお前と初めて会った時のこと、覚えてるか?」
「思い出話は止めて下さい。聞きたくありません」
「そうじゃない、俺だってそこまで辛気臭いことはしないさ」
一息ついて、噛んでふくめるように説明した。