眠り姫は籠の中
□DesirE
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真っ暗な空に掲げた両手を下ろした。
祈りの為に組み合わせたそれらに視線を落とす。
――神の声は聞こえない。
聞こえたとしてもおそらく理解不能かもしれないが、だが何もしないよりは遥かにましだった。
音が出ないように立ち上がり、前を見据える。
ここに来てから、おそらく一日がすぎようとしている。その間に悲劇は進行し、思ったより早く犠牲者が多数でていた。
せめてこの狂気に満ちたパーティーの参加者が傷つけあわぬようにと、説得の為にさんざん歩き回って、
……それが無駄に終わってしまった。
神があんなことをしてしまったことには何か必ず理由がある。
目の前で殺戮が行われたことに衝撃を受けるのは仕方ないにしても、その恐怖を疑心暗鬼に変えることはないと。
…そう説きたかったのに。