CuT
□暗夜行路
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"とおりゃんせ
とおりゃんせ
ここはどこの細道じゃ……"
聞こえる歌はか細く頼りない。
一寸先は闇。
目隠しをしたままだから当たり前だが。
歩みを止める事なく、ひたすら進む。
先を行く神の歌声だけが私を導く。
手は引かれていない。それがルールだからだ。
「ね、ユーリ。この歌の意味、知ってる?」
突然歌うのを止めた神がふいに問うてきた。
歩みは止めない。神も私も。
「いいや、知らんな」
「なら教えたげる。昔ね、子供は七つまで神様の子って考えられてたんだって。
六つが煩悩の数だからね、それまで子供は神の加護を受けて育つんだよ。で、それを過ぎればもう俗世に入るっていうの?」
急に柔らかい物を踏んで、危うくつまずきそうになった。
踏み出した足にぐに、とした変な感覚が伝わり、続いてぶちぶちとした音が。
小さな軟体動物の群れを一気に踏み潰したような、実に嫌な感触がした。
「あぁ、その辺りちょっと散らかってるから気をつけて」
「…エム、今のは」
「ゴールしてからのお楽しみだよ」