CuT

□トビラ
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例えばここに一枚、扉があるとする。

厚さはそんなにない、高さもそう。


だけどたったそれだけが、一つしかない空間を二つにしてしまう。
原因は分かってる、俺ですら動かせない重さがあるからだ。







あの日、俺はものすごく焦ってた。
休日、抜けるような青の空、快晴。
ユーリと待ち合わせしてのんびり散歩の予定が大遅刻。


逃げ口上の言い訳と、正直な遅刻の理由(ちなみに寝坊だ)が頭の中を二分する。


どちらにするか決めかねたまま、ついに約束の場所へ。







なのに、そこにはユーリ一人じゃなくて。

大勢の人間、そして地面に倒れたままのユーリ。

倒れた、まま。

なんでユーリは動かないんだ?
なんで皆ユーリを囲んでるんだ。


なんで。

俺の足は、あの場所へ動けないんだ…?



やめろ、いやだ認めたくないそんな事…!!
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