CuT
□≒(近似的に等しい)
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「もっとさ、力入れていいよ?」
「いやだ…!何でこんなっ」
「え?理由がいるの?」
ぱた、と音がした。
涙?血?混じり混じって、もう分からない。
あぁほら、もったいない。
早くユーリが飲んでくれなきゃ無駄になる。
どくどく、流れて止まらない俺の血。
これ、ユーリの中に全部あげたいなぁ。
なんてどこかうっとりした気分でユーリを見つめる。
「ね、もっと深く刺して?」
「駄目だ…!エム、なんで!こんな事を」
「いいから」
「よくないっ!…っ!!」
聞き分けのないユーリへ鋭く変化した影の一部を突き刺した。
俺と同じくらいに血を流したユーリがキツそうに表情を歪める。
ほんとはこんな事、したくないのに。
だって、不公平だろ?
俺ばっかりユーリをズタズタにしてさ。
「ほら、仕返しするなり自分を守るなりしなきゃ。
死ぬよ?」
笑顔のままユーリに適度な距離感で刃を向けた。
いつでもユーリが俺を刺せるような、そんな絶妙な間合いをとって対峙する。
こうなったきっかけなんて簡単だ、傷付けたくなったから傷付けた。
愛したらそれを倍以上に返してくれたユーリだから、
傷つけても同じようにしてくれる、そう思ったから。