LonG
□希望
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『お願い…、置いてかないで。いい子にするから、だから……っ!』
『…ごめんな……』
伸ばした手はむなしく空をかいた。
求める姿は遠のき、代わりに与えられたのは、
望みもしない謝罪の言葉。
『やだよぉ!一人にしないでぇっ!!』
孤独、不安、恐怖で半狂乱になり、地面に這いつくばって泣き叫んだ。
それすら、相手にはもう届かない。
『お父さん…僕、いらない子なの……?』
ぽつりと呟いた言葉は涙と共に闇に溶けた。
「っ!!」
あまりに酷い夢…過去を映し出したそれに、慌てて体を起こした。
しばらく荒い呼吸が続いて、汗がひくのを待つ。
落ち着こうとしても夢の中と変わらないこの景色。
僕がいるこの現実を曖昧にさせる。
夢の続きなのか、目が覚めたのか分からない。
…どちらにしても僕にとって、真実は変わらないけれど。
ふと、後ろに気配を感じて思い当たる名を呼んだ。
「クローズ…」
『大丈夫?』
影が心配そうに揺れて、そこでようやく安堵した。
友達がいる、それは何より恐怖で歪んだ夢の中とは違う。
「…うん。ちょっと、嫌な夢を見ただけだから」
『………』
「ねぇ、僕が寝てる間にお父さんは来た?」
無言のまま首を振られて、僕は小さなため息をついた。
「そう……」