LonG
□幸せ
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二人きりで、広い広い野原を歩いていた。
見渡す限り、まるで緑の絨毯のような景色。
その中に時として思い出したように花が咲く。
「綺麗」
「だろ?気に入ったみたいでよかった」
笑いかける、笑みが返ってくる。
それがたまらなく、嬉しくて。
なのに胸が焼けるように、痛い。
最近、幸せすぎて怖いんだ。
失う事を恐れているから。
分かりきっていた事なのに、最初から。
考えにふける自分に彼女の声がかかる。
「どうしたの?疲れた?」
慌てて、表情を一変させた。
彼女といる時だけはせめて。
笑っていたい、笑いたい、それだけの事しか自分には出来ないと。
そう、初めて想いを告げた時に誓ったのだから。