LonG

□リズム
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何もない世界だった。
温度も、色も、光も、音も。



淋しかったから、涙が零れた。
するとそこに、暖かさと冷たさが生まれた。


寂しかったから、思い描いた。
すると辺りに、色彩が宿った。


耐えられなくて、手を伸ばした。
すると全てが、明るさに包まれた。


堪えられなくて、胸に拳をあてた。
するとその中に、音程とリズムが満ちた。



世界は全てが自ら望んだ物から生まれた。
自らが世界そのものではなかった。

ただそこに、一人でいるのが怖かった。

始まりがあれば必ず終わりがくることも知らず。

それを知っても、止める事はできなかった。

決して終わりを知ることのない、自らの運命を分かっていても。









(欲した理由は、
ただ終わりたくなかったから。
何もないなんて、嫌だったから)

08.6.27

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