BlacK-2

□二度目の誓い
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薬指に光るそれを外して、机の上に置いた。

夕飯前のおだやかな雰囲気は消えて、向かい側に座っていたエムの目が丸くなる。

「どうしたの、六。なんで外しちゃうの?」
「自分の胸に聞いてみろ」
「…?や、全然分からないんだけど」

眉を八の字に下げたエムの顔を見ていたら、自分の表情も同じになっているような気がしてきた。

俺だって、喧嘩なんかしたくないんだ。でも…。

「これを俺にくれた時に言ったことを覚えてるか」
「うん、もちろん。『俺のお嫁さんになって』って」

嫁かどうかはさておき、指輪を貰えたことは不覚にも嬉しかったんだ。
なのに、エムの左手には同じものがいつまでたっても光ることはなく。

「いつなんだ」
「え?」
「忘れたとは言わせないぞ、お前、“時期がくるまで指輪ははめられない”って」
「確かにそう言ったね」

右手で左手の薬指の付け根をなでて、エムが少し首をかしげる。

「まだ分からないのか」
「うん。ごめん」
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