CuT-2
□神様のお仕事
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冷たい壁に寄りかかって、そのまま地面に腰をおろした。
力が自然に抜けていって、前にもこんなことがあった、なんて他人事のように思い出す。
――あの時も、似たような状況だったっけ。
弾が貫通した腹から出る血が布越しに分かるくらいの出血で。
とにかく何かを壊したくて、それなのに死にたくないなんて考えてて。
ああ、今は違うか。
あいつがいるから、死にたくないんだ。
「…やばいよなあ」
前と同じ轍は踏まないってのが俺のモットーだったのに。
もう引退かなあ。そうなると食いっぱぐれるけど。あいつなら笑って許してくれるかな。
その前に。なんとか、帰らなきゃ。
思考がだんだんブツブツと途切れ始める。
頭の中に、いろんな情景がぐるぐる回って、そのほとんどはあいつとのなんだかくすぐったいようなじゃれあいばかりで。
「…死にたくないのに」
今度こそ。
こんなところで。
俺はあいつに、なにもしてやれていない。