CuT-2

□たとえばもしも
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乱れた息を何度もはいて、震える利き腕を強く握りしめた。

でも、ぬるぬるした感覚ですべってうまくいかない。


「…っ、くそ…!!」

口をついて出た悪態が思ったより強く空間に響く。

なんでうまくいかないんだ。うまくやれるはずだった。
この手が狂わなければ、狙いを外すこともなかったのに。
六を苦しませることもなかったのに。


ひゅうひゅうと風が抜けるような音しか出せないらしい口を苦しそうにあけて、六が俺に何か訴えるような眼差しを向けてきた。

「……わかってる…今、行くから」


取り落としたナイフを拾って、足を踏み出す。

六の目が潤んですぐに伏せられた。
そこに一瞬だけ浮かんだのが何なのかは分からなかった。

おかしな話だ、六のことはなんでも分かっているつもりだったのに。



ねえ六。
すぐに楽にしてあげるよ。

だけどその前に、少しでいい。
こんな結末を迎えなきゃいけなかったわけを考えさせて。
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