CuT-2
□endless letter
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『好きな人ができた』
ただ一枚の紙の真ん中に一行、それだけが書いてあった。
封筒をひっくり返してみても、他に紙はない。
紙を透かしてみたけれど、他に何も書いてない。
「…誰?」
問いに誰も答えてくれない。
「…誰なんだ」
持っていた紙を握りつぶして、そのまま拳を固めた。ぐちゃぐちゃした音がまるで俺の心みたいでそれすらも腹立たしかった。
いつからか始まった文通みたいなやりとり。
六が書をやってるからって、それでなんとなく文通は楽しそうだって流れになって。
なんでもないこと、ハマってること、面白かった映画だとか、そんな他愛もない文面を書いては送って。
だからパーティーの時は他の参加者より親しみをもって六と交流できた。
それがいつからか恋に変わっていると気付いたのは最近のこと。
つのっていく気持ちをなかなか打ち明けられず、いつにしようか思案していた矢先のことだった。