CuT-2
□罪と罰
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いつもの路地裏。
暗いその場所に突如として水が湧くように光があふれた。
「よー、お疲れ」
「そちらこそ、お疲れさん」
光から現れた少年は軽く手をあげ、それに合わせて自分の手を打ち合わせる。
「何人?」
「えーと…たぶん15、かな?」
「ああ、組織壊滅だとか言ってたっけ」
「そう。でも俺は少ないんだ、他の連中の方がけっこう潰してたから」
「けど俺には負けるだろ?」
「お前に勝てる奴はいねぇよ」
喉の奥で笑ったらしい少年――エムは側にあった電柱に背をあずけて空を仰ぐ。
俺もその場に立ったままで同じように上を向く。
ビルばかりのここらは空なんて切り取ったようにしか見えない。ましてや星なんて砂糖粒より見つけにくい。
「なぁケー」
「んー?」
お互いに姿勢はそのままで、会話だけが白く形になり同じ場所へ昇っていく。
「今まで愚問だと思ってあえて聞かなかったけどさ、お前…なんでこんなことしてんの?」
「…んー」
タバコをくわえて、さっきとはイントネーションの違う一音を漏らした。
火をつけてゆっくりと口の中へ煙を満たす。
答えたくないわけじゃない。あまりにくだらない理由だから、言いにくいだけ。