CuT-2
□放たれる二律背反
1ページ/5ページ
「あんな奴らは滅んで当然だ」
「そんなことない、そんなこと言うな!」
「なんでだ!なんでお前はそんなにあいつらを庇護する?!」
「だって…、でも黒」
「お前は自分を傷つけた存在すら愛し続けるのか」
「……黒、俺は」
「もういい。わかった」
無理矢理に話を終わらせて背を向けた。会えばかなりの確率で交わされるこの話題に今日も答えは出ない。
何故なら本当は俺もMも何もわかってなんかいないからだ。
するりと伸びた影が心配そうに揺らめいて、だが何も口にはしない。
「えぐられるような痛みを受けて、なおも愛せるなんざ俺には理解できねぇな」
Mは神だからあいつらを愛せるのか?
俺が死神だからあいつらを愛せないのか?
「なぁ黒」
「………なんだ」
俺が吐き捨てた台詞を返したかったんだろう、背中からMの声がかかる。
無視すればいいが俺はそれができずに顔だけ振り向かせた。
「俺は、…俺の生んだすべてを愛してるんだよ」
「…だから?」
「俺が生んだわけじゃないけど、愛してるやつらの中には黒も含まれてる」
「………」
「皆、大事なんだ。俺には全てを見渡せる大きさなんて今はないけど、皆を愛したいんだよ」
「M、もしかしてお前」
「だから、ね?」
どういうことだ、と。返せなかった。