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□小さな楽園
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「んー……よし!」
温度計を引き抜いて、狭い空間を見渡した。
換気よし。湿度よし。湯温よし。完璧だ!
「ろーくーっ♪」
歌うように六を呼びながら浴室を飛び出す。
「なんだ、風呂掃除にしては長」
「掃除もしたし、お風呂もいれた!ねっ、一緒に入ろ!!」
自分の台詞を邪魔されたうえに俺の言葉に驚いたらしい六は、眉を寄せたままじっと睨んできた。
…地味に、視線が痛い。
「こんな昼から何を寝呆けたことを。寝言は寝て言え」
「昼でもなんでも、お風呂なんて好きな時に入ろうよ!ね、せっかくいい感じにしたんだからさ」
「嫌だ」
読んでいたらしい雑誌を広げ直して、ぷいと横を向く六。
…………。
俺のあの努力は…いったい………(凹)。
どんより落ち込んでたら後ろから影が何やら囁いてくる。
『主、おそらく六さんは誤解されてるのではないかと』
「え。何を」
『そりゃー、ほら、…ナニしようとか思われてるとしか』
影の口からナニって単語が飛び出たのに内心ドッキリしつつも、そうだったのかと考え直した。