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□気になる再編現場
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エムは普段リミックス曲を披露する。
原曲者に声をかけるらしいが、そのさまがどう見ても、その。あれだ。
よく考えれば分かることだが、別にあいつが女好きだからとか、そういうのじゃない。俺の知り合いの男だって、リミックスしてもらっていたし、当然というのか俺もまた最近になってようやく声をかけられた。
しかしそれにしても、声のかけ方に男女差がないだろうか、だなんて思う自分が女々しくてどうしようもなく嫌になる。
考えを払おうと頭を振るが、意味なんてなかった。
今回のパーティーでエムはあっちこっちに行っているらしいし、今までで一番出張が多い。気がする。
だからこんな血迷っているのか、俺は。
誰もいないしんとした部屋で、確か今日は帰れないと連絡があったからさっさと寝てしまうのが得策だろうと考える。
考えはするがこうして意味もないのにいすに腰掛け、もう冷め切った茶を片手に溜め息なんぞ漏らすのだ。
「……」
ひとつ、深呼吸。
まったく。何を馬鹿なことを。
そこでようやく重たい腰を浮かせて、俺は寝室へ向かう。箪笥横には、普段は布をかけてある姿見があるが、エムが朝直していかなかったんだろう落ちたままだ。
薄明るい中で映るのは、自分の姿。