GeT
□Stained glass
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夜。いい加減に冷えてきた頃。
開け放った自室の窓、テラスに直結したそこに降り立つ姿は神々しかった。
月を背負い、気障に、だがどこまでも優雅な一礼。
「迎えに来たよ」
神の姿だった。
微笑み、私へ差し出すその手。
「……少しばかり遅くはないか」
数十分も前からこの窓は開いていた。
テラスにいつ気配が落ちるか、そわそわして待っていた。素直に言うつもりはないが、しかし神は意を汲んだように眉を下げる。
それからぱちん、と指を鳴らせば、私の部屋の時計がわずか、逆向きに針が回った。