MinI

□恋する勇気
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「…ハァ」

思わずため息が漏れた。
今日も言えなかった……。どうしよう。

「よ、悩める少年!」

お気楽な声。よりによってこんな時に。

「僕はショウだって、」
「何回言われても呼び方は変えないぜ?」

相手――MZDはケラケラ笑う。
次の瞬間、いきなり表情を素に戻して言った。

「お前、いつになったら言うわけ?
言わない限り、俺はずーっとお前の事をまともには呼べないぞ」
「う……うるさいな。勇気が足りないから、
…このゴールをきめたらって、で……」

"きめても、決心できないんだよ!"は、尻すぼみになって。
相手に聞こえたかどうかも怪しい。

ああ、あの子に告白する時に失敗しそうな予感。
悩みを打ち明けた相手にすらこんな調子じゃ尚更。

「…わかった」
「え」

思い悩んでいた僕は手にしていたボールから
MZDへ目線を移そうとして、彼が消える瞬間だけを見た。

一体何が分かったんだろう。
まさかあの子を略奪…はないか、風の噂でMZDは既婚者だって聞いたし。

それが嘘だとしても、最初から恋の悩みなんか聞かないだろう。
MZDとはまだ付き合いが浅いけど、そんな奴だって事が伝わってくる。

さすがは神様だ。
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