眠り姫は籠の中
□TeaR
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相手は何かを察したのか、歪んだ笑みを浮かべて立ち止まる。
「…なんだかぼく、鬼ごっこは飽きたよ。ユーリ、……いや」
ようやく正気に戻ったのか、と様子を伺うが彼の瞳はどんよりと濁ったまま。
「気をつけて下さい」
「大丈夫よ。…しくじりはしないわ」
短くやり取りし、私達は彼と対峙した。
目視で距離を測り、歩数を数える。……約、15。
走って5秒ほどか。
彼女が大きく息を吸うのが分かった。
「リデル。会いたかったよ」
「おあいにくね。私は正反対よ」
「あはっ、そう?そうだろうねぇ、君にベッタリの幽霊紳士もいないし、君は一人じゃ何にもできやしないお人形さんだから」
思わず反論しかけるが、彼女に抑えられ自粛する。
「さっきまではそうだった。でも私はもう変わったの」
「へぇ、そうかい。…だけどぼくにはどうでもいいや。どうせオマエも偽物なんだ、本物のリデルはどこだ!さっさと白状しろ、この悪魔め!!」