眠り姫は籠の中

□TeaR
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しかし彼女はそれを望まなかった。

――思えば、彼女が「こうしたい」と意思表示をしたのは初めてではないだろうか。
それを嬉しくも思い、また悲しくも思った。



――私の罪は消せないのですか。

そう問うた私に彼女は笑って、首を横に振ってくれた。
代わりにある提案を示し――





私はまた、罪を犯す。今度は彼女と共に。











「待ってよユーリ、待ってったら!」

彼女は踵を返して駆け出した。

「……狂ってる」

悲しそうに、しかしそれでも毒づくような口調を隠そうともしない彼女に無言で同意を示した。

あの透明人間が呼んだ人物と彼女は似ても似つかない。…もうすでにいない人物と見間違える時点で、もはや尋常ではないのは明確だが。
もっとも、そういった事象よりも彼が血まみれの石を大事そうに抱える姿がすでに異常だった。



しばらく走って、ふと彼女が止まる。ひらけた場所にきて、相手を鮮明にとらえやすくなった。

打ち合わせどおりだ。
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