眠り姫は籠の中

□TeaR
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苦渋の決断だった。

静かに抱いた体さえ、もう冷たかった。


手向けられた花々が色褪せて見えるほど貴女は美しく、気高かった。

…死ぬにはまだ早すぎる、誰しもが口を揃えてそう言った、私がその中の誰よりそう思っていた。
だから、と言うのはおかしいが彼女を生かした。
もっと多くの物を見て、聞いて、笑って欲しかった。




――その願望は彼女に歓迎されなかった。

それでも、どんな姿や存在であれ「生きている」、その事に私は感謝していた。
自己満足だと言われても、罵られてもよかった。



その全てを覚悟した上で、私は彼女を生かしたのだから。

…生きて、私を側に置き、わがままに無邪気に、時にはしおらしく、かつて私を虜にした輝きを失って欲しくなかった。





――そしてこんな状況になっても、私は彼女を生かしたかった。守りたかった。

今の私にできる事は限られているが、それでも守りきる自信はあった。



例えば戦いが完全に終わるまで彼女を仮死状態にしておく。私が他者に憑依して全ての参加者を同士討ちにする、…等々。
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