眠り姫は籠の中
□DeatH
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なんだか嫌な夢を見た。
ドロドロして、胸がざわめく感じの。
内容は覚えてないけれど。
「起きたの?なんかちょっとうなされてたよ?」
いつもの笑みでスマイルが覗きこんでくる。
が、その口で描いた弧が下がり気味なところを見ると、相当な心配をかけたようだ。
「大丈夫っスよ。…そんなに酷くうなされてたっスか?」
安心させたくて出た否定の言葉と、状況を知りたくて出た言葉が矛盾を生んで、なんだか胸がモヤモヤした。
だけどそれを払拭するようにスマイルが晴れやかに笑う。
「うん、ぼくの素敵なギャンZの夢が丸潰れになるほどにねぇ。ヒッヒッヒ」
コロコロと笑いだすスマイルに、少し肩すかしをくらったような気分になる。が、自分の求めた安心を与えてくれたのだと思い直した。
長いこと一緒にやってきて分かった事だけど、スマイルはふざけているようで人一倍周りを気づかってくれる。