BlacK
□∵愛∴
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「神、頼む…!ハテナを助けてやってくれ!」
「ハテナ?」
私の顔と、私が腕に抱いたハテナを見比べて、
神の顔が驚きに変わる。
「ユーリ…こいつをどこで」
「説明は後でするから!お願いだから…
助けて、やってくれ…!」
意図せず流れた涙を見られないよう、急いでうつむいた。
「…分かった。ユーリ、お前はもうおやすみ。
こいつは俺が預かるよ」
すんなり承諾された事を信じられず、あっけにとられたまま神を見た。
身構える暇もなく頭に手が置かれる。
とっさの事で反応できずにいるとそのまま二、三度撫でられた。
安心させられる温かさに、先ほどとは違う涙が出る。
「泣かないで。大丈夫だよ」
そう言って笑う神の抱いたハテナは、相変わらず微動だにしなかった。
二人の帰りを待つ間、ずっと考えていた。
神は、思い通りにならないから世界を消した訳ではないかもしれない。
私がハテナをかくまうつもりで、知らずにあんな状態にしてしまった時のように、
守りきれなかった己を嘆いての事ではなかったのだろうか。