BlacK
□∵愛∴
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幾つかの月日が流れた。
(今は時間の概念すらないから、そんな感覚だ)
いつものように神が出かけた後、ハテナを呼ぶ。
だが打てば響くような反応がない。
「……?」
背中へ一気に寒い空気が走る。
嫌な予感が、した。
「ハテナ!どこだ…!」
たいして広くないはずの世界が、やけに広々と感じた。
くまなく辺りを探して、息も切れだした頃。
何かにつまずきそうになって身を引いた。
「ぁ…ハテナ!どうした、大丈夫か!?」
『……ゆ…ゆぅ、りこそ、たくさん、
…疲れてるみた』
倒れたままハテナの発する酷くたどたどしい口調が、
何の前触れもなく消え失せた。
「ハテナ…!しっかり」
「どうしたの、ユーリ」
最悪だ。
なんでこんなタイミングで。
誰でもいい、どうにかして救って…!
瞬時に二つの思いが素早く私の頭を交差する。
口に出た言葉は、もちろん後者だった。
我が身よりも、ハテナをどうにかする事が優先だった。
ハテナは何も悪くない。
たとえこの隠し事が神の逆鱗に触れて私が消えても、
それはむしろ本望だとすら思った。