CuT
□暗夜行路
3ページ/3ページ
道の途中でいくつもの障害につまずき、そして慣れたあの匂いを何度も嗅いだ。
『神は私が眠りについている間に、どんな思いでいる?』
その答えがこれなのだと、終わりも見えないうちから悟った。
やはり私は罪深い。
「そろそろいいかな…」
だいぶ歩いて、傾斜を登って、小高い場所へ来た時に神が呟く。
目隠しが払われて、目の前には満面の笑みを浮かべる神が。
差し伸べられた手を自然にとって、私も笑みを返した。
「やっと会えたって感じがするでしょ?」
「…あぁ、そうだな」
「ユーリの聞きたい事の答えになった?」
問われて、私はたどってきた道を振り返って、それから見下ろす。
やはり、思った通り。
道には無数の、
死体。
死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体。
幾つも乗り越えて、散らかして、
そうまでして進む辛さはどんなものだったろう。
「……充分な答えだよ」
お互いの血塗れになった足元と服を見て、
神が朗々と歌う、謡う、謳う。
"行きはよいよい
帰りはこわい
こわいながらもとおりゃんせ…"
私は目を伏せて、
もう戻れない時を少しだけ恨んだ。
09.6.2