CuT

□トビラ
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所詮、この世とあの世は一つみたいなもんで。

魂の存在する次元が肉体であるか霞(かすみ)であるかで違ってくる。


生死という名の扉を開け閉めするだけで生物はいくらでも、魂がそれを望む限り様々に生まれ変われる。



…だけど、有って無いような俺は常に蚊帳の外。
扉を管理してる筈なのに、開け閉めは出来ないなんて。


俺だけを置き去りに進み続ける時間。

つのる思い、悲しみ、切なさ。


どこまでいっても一人で、死ぬに死ねない俺。
いくらでも変わり続ける、魂達。





そうだ、いい事を思いついた。
…いままで何度か試して駄目だったけど、これだけユーリを愛したんだ。
今度こそ死ねる、かな。







どうせだから影もこの子猫も一緒に。

そう思ったのに、子猫に加減なしで引っかかれた。


たまらず悲鳴に近い呼吸、続いて号泣。




ああ、ごめんねユーリ。
俺はまだ生きている。


淋しいよ、痛いよ、苦しいよ。



やっぱり死ねなくてごめん。ごめんなさい。

君を忘れる事だけは、決してしないから。





泣き続ける俺の横に、愛しい人の名を冠した子猫がすり寄った。



09.5.14
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