CuT

□虚無と黒と線
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「今日もよろしくなーユーリ」
「ああ」
「お前とリミするの、二回目だぜー?もっと嬉しそうにしろよ」
「……あぁ」
「微妙な笑みだなー…;あ、楽譜は?」
「ここに…」


一瞬。
ほんの一瞬だけ、お互いの手が触れて。

刹那、時が止まったように二人が動きを止めた。


だがそれを悟られようとしない神と、
気のせいだと思いこんだ吸血鬼が、
それでも名残惜しそうに、互いの手が離れていく様を見つめた。


「…じゃ、始めっか!」
「あぁ。よろしく頼む」






神も吸血鬼も、
お互いの気持ちに気づいていない。



線を引き、遠ざけているから。

壁を作り、闇に閉ざされたままだから。



交わらないまま、混ざらないまま。


始まりがないから、終わる事のない虚無の中、
ただ緩慢に二人は生きる。



09.5.10
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