CuT
□虚無と黒と線
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真っ黒な闇を見つめる。そこに一条の光もない。
眠ろうと目を閉じる前に、空間を眺めてため息をついた。
俺とユーリの間にはこんな色が横たわったままだろうな、とふと思う。
自身の中に何も混ざる事を許さない、
そして何かに自ら身を投じればそれを汚してしまう、闇の色が俺には備わっている。
想う相手にすら影響する、だから好きでも何も言えず何もできない。
ユーリは俺をどう思ってるか知らないけれど、俺があいつに抱く感情はそんな感じだ。
思いを告げたくて、でも、こんなに嫌な色に染まった俺だから、
汚してしまう事を恐れて歩み寄れない。
触れれば壊れてしまう"かもしれない"。
関われば傷つける"かもしれない"。
そんな仮定だらけの未来を想像して、俺は自分の前に高い防壁を作っている。
それは見上げても高すぎて、光すら通さない。
崩すのはきっと簡単であっけない。
だけど崩壊した後を、俺は恐れている。
もしも元に戻れなかったら?
もしも、嫌われたら。
そうなる要素を持ちすぎた己を恨んで、呪って。
そうすればそうする程、ユーリの綺麗さや儚さ、無垢なところが愛しくて。