LonG
□予知
2ページ/5ページ
神として幾度も目にしたその瞳は、
ただ死に向かうだけの暗闇に染まり、
今はもはや自分さえおぼろげにしか見えておらず、やがて何も映さなくなるのだと。
悟ってしまった。
「……え、む。…、ごめ……ね?」
何を謝られているのか分からず、それでも首を横に振って彼女の細い体を抱きしめた。
その間にも、彼女の左手首からはとめどなく赤い液体が流れ出していく。
「……っ!なんで…!」
ようやく出せた言葉をきっかけに、涙が目からあふれた。
彼女を抱く手もわずかに震える。
「…な、か……ぃで」
「無理だよ…!なぁ、なんでだ…?
俺を一人にしないでくれ、側にいてくれるって言っただろう!?」
自分でも無茶を言っていると、頭の片隅で思った。
だけど。
願わずには、言わずにはいられない程に、
かけがえのない存在だった。