BlacK-2
□a gold goose
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生み出したばかりの世界の成長は順調だ。
誕生した瞬間に世界と俺は完全に切り離されるから、この気持ちが影響しているとは考えられない。
それでも、恵まれた状況を見守って、この幸福感が伝わっていればいいのにと強く願う。
まどろむユーリを側に、楽しそうなハテナを傍らに置いて。
これ以上の幸せがあるのだろうか。
うららかな日差しが少しかげって、空を見上げた。
雨が降るな、と呟けばハテナが花をあちこちに咲かせてまわる。
『花、嬉しい!』
「そうだな、きっと喜ぶよ」
ハテナの頭を撫でて立ち上がり、ユーリの肩に手をかけた。
「ユーリ、帰ろう。雨が降りそうだ」
「…ん……?」
目を開けて、ぼんやりしたままユーリは何度かまばたきを繰り返す。
「………」
ユーリの視線がさっきハテナの咲かせた花に止まった。それから、再び戻った日差しに目を細める。
「ユーリ?」
「…お前の創る世界は、いつも美しいな」
柔らかい笑みを向けられて、何も言えずに。
ただ、抱きしめるしかなかった。
それだけで充分だった。
<彼がタクトを振ると、太陽と月と星の音楽が満ちわたった>