BlacK-2
□a gold goose
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思ったより早くユーリの目覚めが訪れた。
まだ世界は安定していないけれど、星達がとても綺麗だったから今回は特別に連れ出してあげることにした。
俺の隣に立ち、始まったばかりの世界と星を見たユーリはしばらく言葉を失って、背中の羽をほんの少し揺らす。
「…すごいな。綺麗だ」
「そうだね」
羽が揺れたのは感心したからかな、なんてぼんやり考えてたらふいにユーリが俺の顔を見上げてきた。
「?」
一瞬だけ目が合って、すぐに逸らされる。
「どうしたの、ユーリ」
「……いや」
うつむいたユーリの頬が少し赤い。
憶測だけど、たぶんユーリは早く目覚めたせいでいつもと違う体調のはず。調子でも悪いのかな。
だけど前に体を気づかいすぎて機嫌を悪くしたことがあったから、少し黙ってユーリが何か話してくれるのを待った。
「…あ、あの」
「うん」
もう一度目を合わせて、消えそうな声で。
ありがとう、という言葉をもらえた。
<人の声、そして音色が満ちわたる。彼は空に手をかざした>