CuT-2
□放たれる二律背反
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目の前であがる血飛沫がようやく途切れた。
その向こう、やはりあいつは見つからない。
あぁくそっ、なんでこんなに世界には人間がうようよしてるんだ!キリがない!!
「ああ、お許しください…!どうかこの子だけは、」
「うるさい」
すがりつく女を一撃で沈めて宙を睨むようにあいつの姿を探した。
――人間達のため、そして俺のためと言って消えたあいつは今日も見つからない。
探すしかない俺の前には俺とあいつの見分けもつかない馬鹿共が群がる。
お前達なんかのためにMは消えた。価値もないお前達なんかのために。
なのにお前達はいまだあいつを神としてしか求めず、救いと許ししか乞わない。
ふざけるな。ふざけるな!ふざけるな!!!
何もかもお前達のせいだ、そんなことも分からないのか!!
『黒、もうやめにしたら?』
「嫌だ。てめぇまであいつらの味方をする気か」
『そうじゃない。こんなこと続けてもMは戻ってこないよ』
「違うな。あいつは消えた、つまり隠れてるだけなんだ。人間と俺と、どっちをより愛していいか分からなくなってだから試したいだけなんだ、なら俺があいつを分かってやれる唯一だと証明してやらなきゃならない人間なんかがあいつを分かってやれるはずがない」