real
□LOVE
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そう。何もかも、あのパーティーもそれを舞台にした悪夢も、
すべてを仕組んだのはただ単に、君に俺を消して欲しかったから。
積年の人々の祈りと願いでこの世界に実体化した俺は自らの意志では消えることができない。どんなに切望しても、俺は自分の願いは叶えられない。
だから誰かに祈ってもらうしかなくて、死んでしまえと思うほど憎まれる為に君にその役目を与えた。
あの時すでに人々の信仰心は薄れてたけど、君の想いだけはしっかりと俺をつなぎ止めていたから。それほどまでの愛を抱いたまま消えたかったんだ。
この戦いの大義名分はそれだけが目的だった。
俺はね、ユーリ。守るべき存在も守れない神には、いいや男になりたくなかった。俺を培ってきたすべてを失ってでも君を守りたかった。
初めて会ったあの時に、俺は君を守りたいと強く願ったのだから。
我を通して欲を叶えればよかったのにと誰かはあざ笑うかもしれない。
でも、そうまでして君を折り曲げたくなかった。
愛していたいから。君を愛しているから、別れる。
この答えを出すまでに散々悩んで、ひどく傷つけてしまうことにためらい、自分勝手なわがままに巻き込んでいるだけじゃないかと迷い、それでも実行して。
――やり遂げた今、俺にはもう果たすべきことは何一つ残っていない。
この場所で、ただ一つの玉座に座り世界を見守るだけの日々に戻るよ。
大丈夫、心配はいらない。あの時の言葉とこの愛とだけで、尽きることのない時間をいくらでも過ごせるから。
これまでの罰として、俺は全ての存在の記憶から消える。
だが俺は君のことを、犯した罪と共に忘れない。絶対にだ。
それが俺のすべてでもあるから。
…この独白は君にはもう聞こえていないだろうね。
それでも、せめてこれだけは誓いとして届きますように。
「君を永遠に愛し続けよう」
11.11.21.