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□夏の終わりに
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「で?」
「行こうや、花火やで!しかも今夜!屋台多数出店、地元住民のカラオケ大会…えと、それからなんやったかな」
「ビンゴ大会と盆踊りだよ」
「せや!なぁ、ちびも行きたいよな!!」
「俺をりっかと一緒にすんな、別に楽しそうなんて思わない。おまえもそうだろ」
「んな殺生な…黒ぉ、なんか言ったってや」
「悪いが俺もちびと同意見だ。それに人ごみは嫌いだ」

黒もちびも案の定というか何というか、つれないなぁ…六華さん泣きそう。


「なんでや、日本の風物詩代表の花火を見ぃひんとかもぐりやで!ヨーヨーすくいとか射的とか、そんなんやりたいやろ!なっ、紅ちゃんもそう思うよな」
「……それ、紅、知らない」

えっ、て顔で紅ちゃん以外の全員が固まった。
その様子におびえたみたいに紅ちゃんが呟く。

「紅は六だから、六のこと見るのに忙しくって、だから」

ようするに人間観察(六限定)しとって他に目を向けられんかってんな。

「………。しょうがない、行ってやるよ」

ぶっきらぼうに言って別の部屋にひっこむ黒の後ろ姿に思わず親指をたてて。

「やったで紅ちゃん、おめかししよな、浴衣着ようで!」
「おいりっか、俺にも出せよ!」
「なん、行かへんゆうたやん」
「うっさいな、あいつが行くなら行くんだよ!」

いい意味の急展開でテンションがあがって、早く祭りが始まって欲しいと切に願った。
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