眠り姫は籠の中

□GoD
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再び目を開けた時、周りは黒く焦げて、アンネースがとても優しい笑みで立っていた。

「…ロキはいなくなったわ。貴方のおかげね……最初の一撃で私の手を汚すことは出来なかったけれど、まぁいいわ」

彼女の言うことが理解できなかったが、側に転がるバラバラにされたロキを見る限りでは、恐れていた事態が起きてしまったらしい。
彼女が手を差し伸べてきて、刹那。
直後、説得しなければという思いに呼応するかのように、体が熱くなって。

「!!…ひっ」

アンネースがその場へ崩れ落ち、激しく震え始める。私から伸びた光が四角い窓のように空中に浮いて、アンネースはそれを見て驚いているようだった。
私の方からは、ただの光にしか見えず何がそこにあるのかは分からない。

「主よ、お許し下さい…!私は、私は」
(アンネース…何を怖がる?)
「こないで、私は、戦わないわ!!」

近付くことを拒絶されて失望しかけるが、アンネースの言葉に一筋の希望の光が見えた気がした。

もしかしたら、説得はできるのかもしれない。
少なくともアンネースは戦わないと言ってくれた。





――が、後に私は、それが間違いだったことを知る。
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