眠り姫は籠の中
□GoD
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ふ、と眠りの深淵から浮かぶ感覚。
夢…だったのだろうか?
だとしたら、ありがたい。
だがすぐにその考えをあざ笑うように、気温や触感が現実を否応なく認めさせる。…何かが起きて私はエムの元から逃れているのだろうか?
直後、少し離れた場所に、見覚えのある少女が佇んでいた。
(アンネース!)
呼び掛けは言霊にならずに私の体の中へ響いて鳴り止む。
(…声が、でない…!?)
いや、自分の異変に構っている場合ではない。とにかくこの馬鹿げた争いを止めさせなくては…!
彼女の元へ向かおうとして更に違和感を覚えた。
透けて、青く細い足を見て思考が止まりそうになる。
私は、一体“何”になっているのか。
…まさか、“影”?
考えこむ時間も惜しく、急いで彼女を覗き込むようにしながら邪魔をした。
案の定、威嚇するように怒鳴られるが死んでも離さないと伝えたくて頭を振り続ける。
そうするうち、ロキが姿を現し話し合いが始まるが、結局それは無駄に終わりそうになる。
もうやめてくれ。
そう思った時、閃光が辺りを包んで思わず目を覆った。